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大王誌上で紹介した一冊・ギャグ編

かってに改蔵(26)
久米田 康冶

小学館 2004-09-17
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伝説となった衝撃の最終回を確認せよ!
『シャーマンキング』と『代紋Take2』など、読者の予想の斜め上を行くとんでもない最終回が続出した2004年のの漫画界。そんな流れの呼び水となったのは、間違いなく『かってに改蔵』の最終回だろう。  未読の人のためにネタバレは控えるが、最後の最後で作品世界全てをひっくり返しながら、それがきちんと整合性を保ち、このラストを踏まえて今までの話を読み返した時、何気ないギャグですらまったく違った意味合いで読者を震え上がらせることになると言う「そこまでされたら何も言えません」と降伏するしかない究極の最終回だったのだ。その最終回だけでもスゴかったのに、最終巻収録の描きおろしエピソード「大蛇足」は、蛇足どころか最後のオチでキャラクターと読者に「決して終わることのないギャグマンガ世界の無間地獄」を突きつけて終わるという、一応ハッピーエンドだった最終回の余韻を自らの手で破壊する前代未聞の内容。この最終巻によって、『勝手に改蔵』はギャグマンガの歴史に残る傑作となったのだ。
 そしてもうひとつの見所は、単行本巻末で繰り広げられる、どこまでがギャグなのかわからない最終回(作者曰く「打ち切り」)にいたるまでの編集サイドとの確執ネタだ。25巻において『勝手に改蔵』が新編集長のお気に召さず打ち切りへと追い込まれていく様が書き記され、それを証明するかのように本編では色々な意味ではじけまくったエピソードが続出。そして「5週以内にアンケート3位に入らなきゃ即打ち切り決定!!」と改蔵が作中で明言し、そのリミットを過ぎた6~7回目が本当に最終回に……。あまりにタイミングがぴったりすぎるので、『改蔵』らしく最終回を盛り上げるために作者と編集部が仕掛けたシナリオなのかも知れない。でも、確執の描写の妙なリアリティや、『改蔵』終了後の週刊少年サンデーの誌面の変化を見ていると「実はガチ?」とも思えてくる。まるで昭和の新日本プロレス全盛期を彷彿とさせるような、リアルとフェイクが判別しがたい混沌状態だからこそ生まれる緊迫感が、『改蔵』を巡る内情暴露ネタには満ちあふれているのだ。  ギャグに笑い、ディープなオタネタにうなずき、作者と編集部の対立にハラハラする……『かってに改蔵』のもっとも濃厚なエッセンスが詰まった最終巻、未読の人もこれを機会にラスト2巻だけでも読んでみてほしい(もちろん他の巻も面白いから読んでソンはないぞ)。


無敵鉄姫スピンちゃん
大 亜門

集英社 2004-09-03
売り上げランキング : 61,291
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ネタの嵐にどこまでついてこられるか!?
 週刊少年ジャンプの魅力のひとつに、正統派の作品に混じって時々とんでもない異形の才能が飛び出してくるという点がある。この『スピンちゃん』も、そんなとんでもなさを感じさせた一作だ。
 エロいご奉仕をしてくれる美少女ロボット開発に執念を燃やす老マッドサイエンティストと、そんな彼を冷たく見下す孫娘(眼鏡ッ子女子高生だが、萌えのカケラもないキャラ造形がある意味クール)、そして主人公の美幼女ロボ・スピンが巻き起こす騒動の数々を描いたコメディなのだけど、注目すべきは話の節々に織り込まれた“パロディネタ”の数々だ。
『ジョジョ』『スラムダンク』『マリみて』『デスノート』といった自社ネタは当たり前。さらにはスピンの目から発射されるビームが「コミックビーム」(エンターブレイン)、消防署員の名前が恵野大五郎(『め組の大吾』)、『スーパーロボット大戦』系のネーミング等々の他社ネタまで、隙さえあればネタ投入と言った勢い。そのおかげで、異様な濃ゆさと無闇なパワーを産みだしているのだ。惜しむらくは、そういった勢いをオリジナルギャグマンガとしての魅力にうまく繋げてジャンプ読者メイン層にアピールできず、連載自体は11週打ち切りとなってしまったことだろう。
 だが、大王読者にはかなり肌の合う面白さをもった作品であるし、先日発表された読み切り作品『伝説のヒロイヤルシティ』では、オリジナルとパロディネタのバランスも絶妙なものとなり、ギャグマンガとしてのクオリティは格段にアップしていた。近い将来、ジャンプ系ギャグマンガの中核を担うであろう新鋭の原点を知るためにも、この初コミックスは絶対読んでおきたい一冊だ。

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