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大王誌上で紹介した一冊・じっくり読みたいコミック編

金魚屋古書店(1)
芳崎 せいむ

小学館 2004-12-24
売り上げランキング : 3,240
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「なんで自分は漫画を読んでいるんだろう?」

 改めて考えてみて、はっきりとした答えを出せる人は意外と少ないんじゃないだろうか? そしてその理由もきっと千差万別だろう。でもただひとつ確かなことは、漫画が「楽しさ」と自分の人生を豊かにしてくれる「何か」を与えてくれるものだということだろう。そんな数多くの漫画と人との関わり合いを描くのがこの作品だ。
『この店に来れば必ず探している漫画に出会える』……漫画好きの間でそう語り継がれ愛される、伝説の古本屋「金魚屋古書店」。その店を切り盛りする店長代理の菜月と、店に居候する稀代の漫画ばか・斯波を通して、様々な人たちが想い出の漫画と出会い、自分の心に大切な何かを取り戻していく優しいドラマが描かれていくのだ。
 そんなドラマと並んで注目なのが、劇中に登場する全ての漫画が実在の作品ばかりだということだ。著作権にまつわるギスギスした話の多い昨今、この作品が持つ「漫画への深い愛情」が出版社や権利関係の垣根を越えさせて、幾多の名作が彩る珠玉のエピソードを産みだしているのだ。特に今巻収録エピソードの中では、同窓会で集まったかつての級友達が、一冊の単行本『Dr.スランプ』をきっかけに思い出の数々を蘇らせていく第1話『思い出の成分』と、四十前の専業主婦が、かつて夢中になった傑作ラブストーリー『千津美と藤臣君』シリーズ(ひかわきょうこ作・白泉社刊)とひょんなきっかけで再会し、女子高生時代のときめいた日々を取り戻していく第6話『藤臣君』が個人的なオススメだ。 これを読んで「もっと読んでみたい」と思ったら、同時発売された『金魚屋古書店出納帳』上巻下巻も一緒に買うといい。一昨年休刊したOUR’s LITE(少年画報社刊)等で連載・単行本化されていたエピソードを装丁を統一してまとめたもので、堅物な父親が欠かさず買い続けていた漫画『別冊ゴルゴ13』の唯一欠けた一冊にまつわる父と息子の物語など、こちらも珠玉のエピソードぞろいだ。
 あなたが大なり小なり漫画への愛情を秘めているなら、絶対にこの本を読むべきだ。そして読み終えた時、きっとあなたは今まで以上に漫画を読みたくなっているはずだ。


毎日かあさん カニ母編
西原 理恵子

毎日新聞社 2004-03
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無頼と笑いと感動満載の子育て日記

 かつて産経新聞に、「マッドサイエンティストのメガネくんがアレするマンガ」でおなじみの永野のりこが育児漫画が連載したのには驚かされたが、“あの”西原理恵子が毎日新聞で“育児漫画”を連載と聞かされた時の驚きはそれを遙かに越えたものだった(笑)。
 サイバラ漫画の魅力は、何と言っても様々な人々の本音や生身の部分を、時には暴力的なまでに面白可笑しく、そして優しく描きこむ点に尽きる。『毎日かあさん』は、10コマ前後のわずかなネタの中にその両方がみっちりと詰め込まれている。ひたすらバカ丸出しに描かれる子供たちがふとした瞬間に見せる確かな成長。エッセイ系漫画では無敵の暴れっぷりのサイバラが、子供たち相手では母親となって怒ったり喜んだり……単行本の最後を〆る「何度うまれかわっても、おかあちゃんがいいや」という台詞に何かを感じたなら、ぜひ手にとってみてほしい。絶対読んで良かったと思うはずだ。


ナポレオン獅子の時代(1)
長谷川 哲也

少年画報社 2003-10-24
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ナポレオン獅子の時代(2)
長谷川 哲也

少年画報社 2004-06-28
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ナポレオン獅子の時代(3)
長谷川 哲也

少年画報社 2005-02-10
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『余の辞書に不可能の文字はない』  ナポレオンについて知っているのはこの言葉ぐらいという人が多いけど、このマンガは先入観のないそんな人ほど楽しめるんじゃなかろうか。フランス皇帝という肩書きからは想像もつかない無骨な振る舞いや、従者と共に立ち小便をかます豪快ぶりを見せつつも、自ら事細かに立案した作戦で16万人の兵士を見事に操ってみせる戦神ぶりを見せつけるなど、今作のナポレオンは何ともパワフルな漢っぷり全開のキャラなのだ。  物語はナポレオンの戦争芸術を描いたアウイテルリッツ戦の後は過去へと戻る。ナポレオンの生い立ちを辿りながらフランス革命を描くのだが、革命の重要人物たちも実に燃える漢ぞろい(石黒一押しは「私は童貞だ」の素敵台詞が最高なロベス・ピエール)。さらに、歴史の節目に知らず知らず関わっていくオリジナルキャラ・ビクトルのダメ男ぶりも必見。彼の足跡を追うのも、このマンガの楽しみの一つなのだ。  激動の歴史の中で吼える漢達の生きざまを存分に味わえるこの作品。歴史に興味のない人でも楽しめる事請け合いの注目シリーズだ。

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