『けいおん!』=女の子の日常だって、立派にドラマだろうに
■ちょっと前にTwitter上のアニメ&オタク関係のライターの間で、突然『けいおん!』に関する論争が勃発していてビックリさせられたことが。たぶん口火となったのがベテラン・氷川竜介氏のつぶやきだったんですが……
・『けいおん!』初期でビックリしたのは、第2話です。これは主人公が楽器を始める初心者なのに、二十五万円もするギターが欲しがるって話。
・これはすでに、ドラマ仕立てっぽくなってるわけですよ。つまり、二十五万円のお金がないことが、乗り越えるべき困難、カベになる。そして、主人公ひとりでは解決できない。じゃあ、四人が力を合わせれば解決できるね。それには何をすればよいのか。それはバイトだね。
・バイトをすると、また次のステップの苦労、困難がある。ほら、ちゃんとドラマっぽくなってきたでしょ。 でもね、その第2話ラストでは、驚くべきことが起きてしまうんだ。四人のメンバーのうち一人が超大金持ちなんで、「私が買いますよ」って言って、買い与えてしまうのね。
・今まで出してきたドラマっぽいフリは、何なんだと。俺が二十分もの時間を費やしてまでついてきたこのドラマっぽいものへの気持ち、その期待はドコへ? そう思ったんだけど。
「いつの間にムギが唯にレスポール買ってあげたことになってたんだ!?」とこちらの方がビックリしましたわ(^_^;) これがいわゆる『インディペンス・デイ』の大統領のヘルメット(岡田斗司夫が同映画内で「アメリカ大統領が軍隊時代に使っていたヘルメットを持ち出して、自らも戦闘機に乗り込んでエイリアンとの決戦に挑む」というシーンがあったという記憶をいつの間にか創り出していたというエピソード)なのかと思ってるうちに、誰もそのことを指摘しないまま論争が拡大。こっちはもう上記の件で「ろくに見もしないで語ってるんじゃねーよ」と心が折れてしまったので、間違いに突っ込みいれただけで撤退することに……。
■さすがに他にも間違いを指摘する人がいたのか、氷川氏のブログの方で間違いは訂正されたのですが、
発言趣旨としては、「差額の二十万円」が、ドラマ構造の「コンフリクト(障害)」になっていて、いったんはそれをバイトで解消しようとストーリーが動くのに、コンフリクトが一種の特権行使(チート)で消滅してしまう、という点に注目しています。そして、消滅するからダメだと言うつもりはなく、「コンフリクト回避の構造」の方に着目しているわけです。
うーん、やはり何かもやもやする。そもそもあの第二話が描こうとしたドラマは「いかにギターを手に入れるか」じゃなくて、もっと別のところにあると思うんですけどね。
●まだ会って間もない4人が友情を構築していく過程
●みんなでバイトに挑むというイベントでの各キャラクターの掘り下げ
・律のリーダーシップ(みんなを引っ張り行動へと駆り立てるまではいいけど、後先考えなかったり集中力続かなかったり)
・澪の引っ込み思案ぶりと、覚悟を決めたらがんばるという気性
・唯のまっすぐさ(バイト代をもらうのを良しとしなかった)とダメさ(でもレスポールはあきらめきれずに未練たらたら)
・紬のお嬢様ならではの「普通の女の子っぽい行動」に対する好奇心(問題(?)になっているギターを値切りにしても、唯に対する友情が発端ではあるけど、メインの動機は律から聞いた「値切り」を自分でもやってみたかったという面の方が強いように描かれている。これは第一話のファーストフード店で、律のマネをしてトレイにフライドポテトをぶちまけるという行動からの流れ)
改めて書きだしてみると、第一話でも各キャラに似た様な意図の描写が用意されていたから、第二話はその流れを受けての視聴者に対するキャラクター固めの回という側面が強かったのかと。
■「25万のギターを手に入れる」というのは、最初からドラマの主題(いかにしてこの障害を乗り越えるか)ではないんですよね。そもそも『けいおん!』は女の子の友情ドラマが本筋であって、バンドの立身出世を描く音楽ドラマではない。なのに「音楽ドラマとしてダメだ」というのはどうなのかなと。バンド物という括りで『BECK』と『リンダリンダリンダ』を比較するようなもんでしょう。
そんなわけで、氷川氏の「ギターの値切り」に端を発する『けいおん!』第二話に対する解釈はやっぱり釈然としない。むしろ原作で4コマ1本であっさり流されたギター購入過程を、ここまでキャラクター固めと友情構築エピソードとして膨らませたアニメスタッフのいい仕事ぶりの方が評価されるべきだと思うんだけど。唯だって「小遣い半年分前借り」というリスクを背負ってギターを手に入れたんだから何の苦労もしていない(=チート行為での障害消失)わけじゃないし、ムギに対してちゃんと感謝の念も抱いているのだから。『けいおん!』にドラマがないとか思っている人は、ドラマという物に対する定義が偏狭なだけじゃないだろうか。
■この話題に関しては、今月末発売の『思想地図』VOL.4内の対談で取り上げられるそうだけど、氷川氏以外のメンツが何ともアレで内容も不安なので、立ち読みでさっと目を通すぐらいにしておこうかと。
・『けいおん!』初期でビックリしたのは、第2話です。これは主人公が楽器を始める初心者なのに、二十五万円もするギターが欲しがるって話。
・これはすでに、ドラマ仕立てっぽくなってるわけですよ。つまり、二十五万円のお金がないことが、乗り越えるべき困難、カベになる。そして、主人公ひとりでは解決できない。じゃあ、四人が力を合わせれば解決できるね。それには何をすればよいのか。それはバイトだね。
・バイトをすると、また次のステップの苦労、困難がある。ほら、ちゃんとドラマっぽくなってきたでしょ。 でもね、その第2話ラストでは、驚くべきことが起きてしまうんだ。四人のメンバーのうち一人が超大金持ちなんで、「私が買いますよ」って言って、買い与えてしまうのね。
・今まで出してきたドラマっぽいフリは、何なんだと。俺が二十分もの時間を費やしてまでついてきたこのドラマっぽいものへの気持ち、その期待はドコへ? そう思ったんだけど。
「いつの間にムギが唯にレスポール買ってあげたことになってたんだ!?」とこちらの方がビックリしましたわ(^_^;) これがいわゆる『インディペンス・デイ』の大統領のヘルメット(岡田斗司夫が同映画内で「アメリカ大統領が軍隊時代に使っていたヘルメットを持ち出して、自らも戦闘機に乗り込んでエイリアンとの決戦に挑む」というシーンがあったという記憶をいつの間にか創り出していたというエピソード)なのかと思ってるうちに、誰もそのことを指摘しないまま論争が拡大。こっちはもう上記の件で「ろくに見もしないで語ってるんじゃねーよ」と心が折れてしまったので、間違いに突っ込みいれただけで撤退することに……。
■さすがに他にも間違いを指摘する人がいたのか、氷川氏のブログの方で間違いは訂正されたのですが、
発言趣旨としては、「差額の二十万円」が、ドラマ構造の「コンフリクト(障害)」になっていて、いったんはそれをバイトで解消しようとストーリーが動くのに、コンフリクトが一種の特権行使(チート)で消滅してしまう、という点に注目しています。そして、消滅するからダメだと言うつもりはなく、「コンフリクト回避の構造」の方に着目しているわけです。
うーん、やはり何かもやもやする。そもそもあの第二話が描こうとしたドラマは「いかにギターを手に入れるか」じゃなくて、もっと別のところにあると思うんですけどね。
●まだ会って間もない4人が友情を構築していく過程
●みんなでバイトに挑むというイベントでの各キャラクターの掘り下げ
・律のリーダーシップ(みんなを引っ張り行動へと駆り立てるまではいいけど、後先考えなかったり集中力続かなかったり)
・澪の引っ込み思案ぶりと、覚悟を決めたらがんばるという気性
・唯のまっすぐさ(バイト代をもらうのを良しとしなかった)とダメさ(でもレスポールはあきらめきれずに未練たらたら)
・紬のお嬢様ならではの「普通の女の子っぽい行動」に対する好奇心(問題(?)になっているギターを値切りにしても、唯に対する友情が発端ではあるけど、メインの動機は律から聞いた「値切り」を自分でもやってみたかったという面の方が強いように描かれている。これは第一話のファーストフード店で、律のマネをしてトレイにフライドポテトをぶちまけるという行動からの流れ)
改めて書きだしてみると、第一話でも各キャラに似た様な意図の描写が用意されていたから、第二話はその流れを受けての視聴者に対するキャラクター固めの回という側面が強かったのかと。
■「25万のギターを手に入れる」というのは、最初からドラマの主題(いかにしてこの障害を乗り越えるか)ではないんですよね。そもそも『けいおん!』は女の子の友情ドラマが本筋であって、バンドの立身出世を描く音楽ドラマではない。なのに「音楽ドラマとしてダメだ」というのはどうなのかなと。バンド物という括りで『BECK』と『リンダリンダリンダ』を比較するようなもんでしょう。
そんなわけで、氷川氏の「ギターの値切り」に端を発する『けいおん!』第二話に対する解釈はやっぱり釈然としない。むしろ原作で4コマ1本であっさり流されたギター購入過程を、ここまでキャラクター固めと友情構築エピソードとして膨らませたアニメスタッフのいい仕事ぶりの方が評価されるべきだと思うんだけど。唯だって「小遣い半年分前借り」というリスクを背負ってギターを手に入れたんだから何の苦労もしていない(=チート行為での障害消失)わけじゃないし、ムギに対してちゃんと感謝の念も抱いているのだから。『けいおん!』にドラマがないとか思っている人は、ドラマという物に対する定義が偏狭なだけじゃないだろうか。
■この話題に関しては、今月末発売の『思想地図』VOL.4内の対談で取り上げられるそうだけど、氷川氏以外のメンツが何ともアレで内容も不安なので、立ち読みでさっと目を通すぐらいにしておこうかと。
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