通り魔事件後の夜に感じた「趣都」の歪み
■土曜日に編集部での休日作業をした際、仕事用のモバイルノートを忘れてきてしまったことに気づいたのが日曜日になってから。特に仕事もないけど取りに行くべきか、今日は完全オフってことにして月曜日にすればいいかと悩んでいたところに飛び込んできた、秋葉原での通り魔による殺傷事件。
死傷者十数名、トラックで歩行者天国に突入した上にサバイバルナイフでの無差別殺傷、そして動機は「誰でもいいから殺したかった」という理不尽きわまりないもの……あきれと怒り、そして一歩間違えれば自分だったかも知れない被害者の方々への哀悼の意で、しばらく何もしたくなくなるほど落ち込むことに。でも、その一方で「そんな事件の起きたアキバはどうなっているんだろうか」と気になりもしていた。時間も夕刻だし不謹慎だとは思ったけど、時間は遅かったけど忘れ物のモバイルノートの回収ついでに、秋葉原へ立ち寄ることに。
■アキバに着いたのは午後7時半ぐらい。どんよりとした不安を抱えつつ降りた秋葉原駅前の風景は……あまりにもいつも通りだった。ビラ配りのメイドとコスプレ嬢が闊歩し、アキバ系男子のグループがひいきの路上アイドルを囲んだり、フィギュアや同人誌などの戦利品を見せ合いながらハイテンションに浮かれ、ゲーセン横の駐車スペースには、ズラリと並んだ痛車(ちなみに翠星石、シャナ、フェイト)たち。とても7人もの人が理不尽に命を奪われた事件が起こったエリアだとは思えないぐらいに、脳天気にオタクを満喫する人々が笑顔で闊歩する風景……。
■その時自分が感じた気持ちは、どう表現すればいいんだろうか? いいようのない寒気……「絶望した!」と笑い飛ばすことさえできない絶望感か。
目の前でアキバを満喫している人たちは、普段はさんざん「アキバは僕たちオタクの街」と口にして、アキバやオタクに関するネガティブな報道などがあれば「オタクは迫害されている」「マスゴミの偏見だ」とネットで吠えているんだろう。でも、そんな自分たちの街で通り魔事件が起こり、おそらくは自分たちと同じようにアキバを楽しんでいたオタクも被害者になっている可能性が高いのに、なんで事件自体がなかったかの様に盛り上がっていられるんだろうか? こんなに痛ましい事件が起きても、自分に降りかかったり、自分のアキバライフが邪魔されなければ「しょせんは他人事だから関係ないし興味無い」ってことなんだろうか。
ちょっと前までは「そこらのDQNと違ってモラルだけは持ち合わせている」というのがオタクの美点だったはずだけど、それすらも無くなってしまったんだろうか……あの『電車男』が完全な絵空事になってしまうぐらいに。
■森川嘉一郎氏は秋葉原を、そこに通う人の趣味が街そのものを変質させた「趣都」と語っていた。でも、ここ近年噴出している問題の数々と今回の事件に対する現地のリアクションを見てしまうと、「趣都」の負の側面が露わになってきたかの様に思えた。街自体も来訪者たちも、街を成り立たせるオタク趣味に関わることにしか関心を持たない、怪物的な存在にアキバはなってしまったのではないかと。
別に街をあげて喪に服せとはいわない。でも、つい何時間か前に十数人が死傷した同じ場所で、ここまで何事もなかったように笑っていられる空気が街を覆ってしまうというのは、何かしらが歪んでいる様に思える。
■首都圏でオタク関係の仕事をしていると、望むと望まざるとに関わらず「アキバ(系)」との関わりは避けて通れない。でも、今回の件で自分の中には「そろそろアキバと距離を置くべきじゃないのか?」という気持ちも芽生え始めている。確かにアニメやマンガやラノベなどのコンテンツビジネスで、手堅く利益を出そうと思ったらアキバ系にウケるようなものを作るのが鉄板だ。でも、何かしら不安を感じる歪みが見え始めたアキバに、過度に依存したり関わりすぎたら、いったいその果てに何が見えるのだろう?
■最後に、この度被害に遭われた方々のご冥福をお祈りいたします。月並みだけど、これぐらいしか言葉が出ません……。
死傷者十数名、トラックで歩行者天国に突入した上にサバイバルナイフでの無差別殺傷、そして動機は「誰でもいいから殺したかった」という理不尽きわまりないもの……あきれと怒り、そして一歩間違えれば自分だったかも知れない被害者の方々への哀悼の意で、しばらく何もしたくなくなるほど落ち込むことに。でも、その一方で「そんな事件の起きたアキバはどうなっているんだろうか」と気になりもしていた。時間も夕刻だし不謹慎だとは思ったけど、時間は遅かったけど忘れ物のモバイルノートの回収ついでに、秋葉原へ立ち寄ることに。
■アキバに着いたのは午後7時半ぐらい。どんよりとした不安を抱えつつ降りた秋葉原駅前の風景は……あまりにもいつも通りだった。ビラ配りのメイドとコスプレ嬢が闊歩し、アキバ系男子のグループがひいきの路上アイドルを囲んだり、フィギュアや同人誌などの戦利品を見せ合いながらハイテンションに浮かれ、ゲーセン横の駐車スペースには、ズラリと並んだ痛車(ちなみに翠星石、シャナ、フェイト)たち。とても7人もの人が理不尽に命を奪われた事件が起こったエリアだとは思えないぐらいに、脳天気にオタクを満喫する人々が笑顔で闊歩する風景……。
■その時自分が感じた気持ちは、どう表現すればいいんだろうか? いいようのない寒気……「絶望した!」と笑い飛ばすことさえできない絶望感か。
目の前でアキバを満喫している人たちは、普段はさんざん「アキバは僕たちオタクの街」と口にして、アキバやオタクに関するネガティブな報道などがあれば「オタクは迫害されている」「マスゴミの偏見だ」とネットで吠えているんだろう。でも、そんな自分たちの街で通り魔事件が起こり、おそらくは自分たちと同じようにアキバを楽しんでいたオタクも被害者になっている可能性が高いのに、なんで事件自体がなかったかの様に盛り上がっていられるんだろうか? こんなに痛ましい事件が起きても、自分に降りかかったり、自分のアキバライフが邪魔されなければ「しょせんは他人事だから関係ないし興味無い」ってことなんだろうか。
ちょっと前までは「そこらのDQNと違ってモラルだけは持ち合わせている」というのがオタクの美点だったはずだけど、それすらも無くなってしまったんだろうか……あの『電車男』が完全な絵空事になってしまうぐらいに。
■森川嘉一郎氏は秋葉原を、そこに通う人の趣味が街そのものを変質させた「趣都」と語っていた。でも、ここ近年噴出している問題の数々と今回の事件に対する現地のリアクションを見てしまうと、「趣都」の負の側面が露わになってきたかの様に思えた。街自体も来訪者たちも、街を成り立たせるオタク趣味に関わることにしか関心を持たない、怪物的な存在にアキバはなってしまったのではないかと。
別に街をあげて喪に服せとはいわない。でも、つい何時間か前に十数人が死傷した同じ場所で、ここまで何事もなかったように笑っていられる空気が街を覆ってしまうというのは、何かしらが歪んでいる様に思える。
■首都圏でオタク関係の仕事をしていると、望むと望まざるとに関わらず「アキバ(系)」との関わりは避けて通れない。でも、今回の件で自分の中には「そろそろアキバと距離を置くべきじゃないのか?」という気持ちも芽生え始めている。確かにアニメやマンガやラノベなどのコンテンツビジネスで、手堅く利益を出そうと思ったらアキバ系にウケるようなものを作るのが鉄板だ。でも、何かしら不安を感じる歪みが見え始めたアキバに、過度に依存したり関わりすぎたら、いったいその果てに何が見えるのだろう?
■最後に、この度被害に遭われた方々のご冥福をお祈りいたします。月並みだけど、これぐらいしか言葉が出ません……。
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