『オタクは既に死んでいる』論争(?)に関する覚え書き
『オタクは既に死んでいる』に関して、前回のエントリーに対するコメントや各所の反応を見て、色々と思いついたこととかがあったので、覚え書きとしてつらつらと。ちゃんとまとめるかどうかは、仕事や気持ちの余裕次第ですが、何かの思考材料になればということで、ひとつ。
■『オタクは既に死んでいる』に対する現役オタク層の反発は、「岡田や唐沢はすでに時代遅れの存在」という思いと表裏一体に存在していた「自分たち(オタク)の理解者たる長老を失った(見捨てられた)」ことに対する嘆きでもあるのでは? 自分の認識としては、すでに2年前の「オタク イズ デッド」で現役オタク層は岡田斗司夫氏に見切り、今回の新書にしても「今頃焼き直しかよ」ぐらいのものだと思っていたので。
■そのオタク感やオタク史に対する異論・反論はあれど、岡田・唐沢の両氏が「オタク」を一般人にも分かりやすく(事象の客観視、エンターテイメント的話術)伝えることの出来る通訳=シャーマンとして希有な存在だったことは、間違いのないところだろう。第二~三世代にそんな人物が現れることがなかった(東浩紀氏や本田透氏のオタク論には、一般人に理解を求めようという姿勢(これでわからないやつにはわかってもらわなくてけっこう的な孤高さ)かなかったように思う)。→ブログや個人ニュースサイトが、マスコミのオタクの取り上げ方に対し「マスゴミのオタクに対する偏見」と糾弾するだけで終わってしまい、「なぜそう思われてしまうのか?」と考え、その解決へと向かおうとしないのも、そんな流れからか。
■bonoさんの「岡田氏がリアルタイムで接したはずの「過去」への言及までおかしくなってきた」という指摘だが、その手のいい加減さは岡田氏には割とよくあることなので、生暖かくスルーして突っ込むだけでいいと思うのは、業界の末席に身を置いているが故の見方の違いか。「宮崎努事件をきっかけに、自分はガイナックス=オタク作品作りから身を引いた。自分の作る作品が、ああいったモンスターを生み出すのではという恐怖を感じたから」という言説も、『絶望に効くクスリ』9巻での山田玲二氏との対談以降に突然出てきたものだったし(本当にそう考えていたけど、言う機会がなかっただけという可能性は考慮するにせよ)。
■ただDAICONⅢ~Ⅳがオタク史の起点となったというのは、間違いとは言い切れない。サブテキストとして島本和彦『アオイホノオ』を読むと解るが、現在も一線で活躍する様々なオタク系クリエイターが当時は大阪芸大周囲に多数存在していた。それがゼネラルプロダクツを触媒として集うようになり、DAICONⅢ~Ⅳで爆発したのは事実だから。無論、それを岡田氏一人の手柄のように語っている(ようにとれる)としたら、その点に関しては間違いと指摘するのは正しいが。
■bonoさんの言う加筆部分が気になって、一応現物を立ち読みしてきたのだけど、自分が「怒った部分」と思ったのが「今のオタクの萌えというのは、萌えてる自分が好きという自己愛」という風に分析している点。読んだ時は「違うだろ!」と思ったけど、最近問題になっている「歩行者天国での女装コスプレ」や、過熱気味の痛車ブームなどについては、この分析で合点がいった。「ダメな自分」を肯定するツールとしての「萌え」というものは、確かに存在していると思う(それがすべてではないが)。
■岡田氏は「萌え」を境にしてオタクの死が始まったと書いているが、問題なのは現役オタク層が「萌え」を誰にでも(旧世代のオタクにも一般人・世間にも)分かりやすく定義・言語化できなかったことではないか。それがとてつもなく難しいことは承知の上なのだけど(自分が某女性漫画誌のレポート漫画で説明を求められた時には、「架空の存在を愛でる気持ちや、その楽しみ方と思えばいい」と語り、女性がSMAPや韓流俳優に熱狂するのも実は同じ(実体のある俳優・タレントではあるが、その思い入れの対象となっているのはメディアで演じているキャラクターという架空存在であるという点から(ペ・ヨンジュンのパブリックイメージが、いまだに俳優自身ではなく『冬のソナタ』のカン・ジュンサン / イ・ミニョンであるし))。
岡田氏登場回の収録巻。他にも角川春樹、高木ブー、ノッポさんが登場しているので、読み甲斐のある内容かと。
■『オタクは既に死んでいる』に対する現役オタク層の反発は、「岡田や唐沢はすでに時代遅れの存在」という思いと表裏一体に存在していた「自分たち(オタク)の理解者たる長老を失った(見捨てられた)」ことに対する嘆きでもあるのでは? 自分の認識としては、すでに2年前の「オタク イズ デッド」で現役オタク層は岡田斗司夫氏に見切り、今回の新書にしても「今頃焼き直しかよ」ぐらいのものだと思っていたので。
■そのオタク感やオタク史に対する異論・反論はあれど、岡田・唐沢の両氏が「オタク」を一般人にも分かりやすく(事象の客観視、エンターテイメント的話術)伝えることの出来る通訳=シャーマンとして希有な存在だったことは、間違いのないところだろう。第二~三世代にそんな人物が現れることがなかった(東浩紀氏や本田透氏のオタク論には、一般人に理解を求めようという姿勢(これでわからないやつにはわかってもらわなくてけっこう的な孤高さ)かなかったように思う)。→ブログや個人ニュースサイトが、マスコミのオタクの取り上げ方に対し「マスゴミのオタクに対する偏見」と糾弾するだけで終わってしまい、「なぜそう思われてしまうのか?」と考え、その解決へと向かおうとしないのも、そんな流れからか。
■bonoさんの「岡田氏がリアルタイムで接したはずの「過去」への言及までおかしくなってきた」という指摘だが、その手のいい加減さは岡田氏には割とよくあることなので、生暖かくスルーして突っ込むだけでいいと思うのは、業界の末席に身を置いているが故の見方の違いか。「宮崎努事件をきっかけに、自分はガイナックス=オタク作品作りから身を引いた。自分の作る作品が、ああいったモンスターを生み出すのではという恐怖を感じたから」という言説も、『絶望に効くクスリ』9巻での山田玲二氏との対談以降に突然出てきたものだったし(本当にそう考えていたけど、言う機会がなかっただけという可能性は考慮するにせよ)。
■ただDAICONⅢ~Ⅳがオタク史の起点となったというのは、間違いとは言い切れない。サブテキストとして島本和彦『アオイホノオ』を読むと解るが、現在も一線で活躍する様々なオタク系クリエイターが当時は大阪芸大周囲に多数存在していた。それがゼネラルプロダクツを触媒として集うようになり、DAICONⅢ~Ⅳで爆発したのは事実だから。無論、それを岡田氏一人の手柄のように語っている(ようにとれる)としたら、その点に関しては間違いと指摘するのは正しいが。
■bonoさんの言う加筆部分が気になって、一応現物を立ち読みしてきたのだけど、自分が「怒った部分」と思ったのが「今のオタクの萌えというのは、萌えてる自分が好きという自己愛」という風に分析している点。読んだ時は「違うだろ!」と思ったけど、最近問題になっている「歩行者天国での女装コスプレ」や、過熱気味の痛車ブームなどについては、この分析で合点がいった。「ダメな自分」を肯定するツールとしての「萌え」というものは、確かに存在していると思う(それがすべてではないが)。
■岡田氏は「萌え」を境にしてオタクの死が始まったと書いているが、問題なのは現役オタク層が「萌え」を誰にでも(旧世代のオタクにも一般人・世間にも)分かりやすく定義・言語化できなかったことではないか。それがとてつもなく難しいことは承知の上なのだけど(自分が某女性漫画誌のレポート漫画で説明を求められた時には、「架空の存在を愛でる気持ちや、その楽しみ方と思えばいい」と語り、女性がSMAPや韓流俳優に熱狂するのも実は同じ(実体のある俳優・タレントではあるが、その思い入れの対象となっているのはメディアで演じているキャラクターという架空存在であるという点から(ペ・ヨンジュンのパブリックイメージが、いまだに俳優自身ではなく『冬のソナタ』のカン・ジュンサン / イ・ミニョンであるし))。
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