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IKEA古民家イベント

  • Ikea_0030_
    11月6~9日に、上野桜木町の古民家・市田邸でおこなわれた、IKEA新三郷オープン記念イベントと、その後に歩いた不忍池界隈の写真です。 イベントは和の家にどうIKEAの北欧デザイン家具を組み合わせるのかを見せてくれた、なかなか面白いイベントでした。

『けいおん!』聖地巡り・その1 豊郷への道のり

  • L22
    9/2~3と滋賀と京都の『けいおん!』ゆかりの場所を巡ってきた記録です。 まずは校舎のモデルになった豊郷小学校・旧校舎のある滋賀県豊郷町へ向かう道すがらの色々をば。

『けいおん!』聖地巡り・その2 豊郷小学校・旧校舎

  • Lwzz45
    9/2~3と滋賀と京都の『けいおん!』ゆかりの場所を巡ってきた記録です。 続いてはアニメの再現度がよくわかる実際の豊郷小学校・旧校舎を。

『けいおん!』聖地巡り・その3 けいおん!inリアル

  • Ina39
    9/2~3と滋賀と京都の『けいおん!』ゆかりの場所を巡ってきた記録です。 こちらは旧校舎に開設された観光案内所を彩るファンの持ち寄ったグッズや「トンちゃんパン」「巡礼記念キーホルダー」などの記念グッズ、せっかくなのでドールを持ち込んで撮ってみた写真など色々ですw

『けいおん!』聖地巡り・その4 京都市内あちこち

  • Su
    9/2~3にかけて滋賀・京都の『けいおん!』にちなんだ場所を巡った旅の記録です。こちらは9/3に京都市内のあちこちを見て回った時の写真で、『けいおん!』だけでなく『四畳半神話体系』『ネイチャージモン』も混じったりしてますw

らきすたの街・鷲宮 20081109

  • _0000027_
    ロングドライブの練習がてら、地元より来るまで40分ほどの埼玉県・鷲宮町に行ってきました。そこで撮った写真を色々と。

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May 2008の記事

2008.05.24

『オタクに未来はあるのか!?』を読む

 ネット界隈での『オタクはすでに死んでいる』論争も一段落ついたと思ったら、新たな論争の火種にしようとしてるかのような新刊が。
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オタクに未来はあるのか!?―「巨大循環経済」の住人たちへ
森永卓郎・岡田斗司夫
PHP研究所

 近年のオタク作品やオタク自体への言及には「違うだろ!」と色々突っ込みたい部分が多いオタキングだけど、オタクコミュニティから一歩引いて「社会の中においてオタクはどういう立ち位置にいるのか(世間にどう捉えられているのか)?」的な状況分析に関しては、面白いし納得させられる意見が多いんですよね。ここらへんはオタ系ニュースサイトやブログ、そして東浩紀系のオタク論者が「オタクに入れ込みすぎる(もしくは当事者である)がゆえに」見落としがちな部分でもあるわけで。そこらへんの人の中には「岡田や唐沢の言うことなんて、第一世代が自分たちをあがめてほしくて言ってるだけの妄言だ」と切り捨てる人もいるけど、オタクについて何か考えるのであれば、見落とすことのできない思考材料のひとつだと思うのですよ。だからこそ、何だかんだ言っても興味深い題材の時には本を買っているわけで。

 今回の本は、そのタイトルや森永卓郎との共著(対談本)であることから察しがつくように、「オタク市場・経済」に的を絞って、その市場の仕組みと抱える問題点に迫るというなかなか面白い内容。

・『電波男』の中で「ほんだシステム」として語られた、オタクな作り手とオタクな消費者の間で金が循環していく「閉鎖的循環型市場」の弱点。
・「萌え」とは恋愛の精進料理である。
・これからの萌えビジネスの勝利の鍵は「恋人」ではなく「妻」を与えること。
・オタクは急速に「下流の趣味」になりつつあることを認識すべし。


 読んでて気になったキーワードをいくつか抜き出してみたけど、過去から現在へのオタクビジネスの変化や、これから成功するためのキーポイントなどがあちこちにちりばめられていて、編集という仕事柄「なるほどなー」と思わされる部分も多かったです。
 経済ネタとは言っても、小難しい専門用語はあまりないですし、語りの上手い二人による対談なので文章も読みやすいので、オタクビジネスに興味のある人は読んで損のない一冊かと。

 まあ、ひとつ気になったのは、この手の話題で必ず出てくる村上隆に対する評価ですか。この本では「オタク市場に新たな人と資金を呼び込む貴重な人材」と高く評価してるのだけど、あまりフィードバックされてない気がするんですが(^_^;)。あと、オタクが村上隆を嫌うのは「オタクは金に関して潔癖なので、村上隆はオタクを金儲けに利用しているように見えるのだろう」とも書いているのだけど、それ以上に「巨乳や射精など恥ずかしい題材を「これがオタクのアートだ!」としてアピールされることの痛さ(ワイドショーで奇矯な振る舞いのオタクが「これがオタクだ」と広められる感覚に近いかも)」「オタクが作品の重要な評価要素としている「熱気」「情熱」が村上のオタクネタ作品からは感じられない(同人誌に例えるなら「今回はこれが売れ線だから」という意図が見え見えなエロ同人誌みたいなものか)」という部分も大きいと思うんだけど。

2008.05.11

『オタクは既に死んでいる』論争(?)に関する覚え書き

『オタクは既に死んでいる』に関して、前回のエントリーに対するコメントや各所の反応を見て、色々と思いついたこととかがあったので、覚え書きとしてつらつらと。ちゃんとまとめるかどうかは、仕事や気持ちの余裕次第ですが、何かの思考材料になればということで、ひとつ。

■『オタクは既に死んでいる』に対する現役オタク層の反発は、「岡田や唐沢はすでに時代遅れの存在」という思いと表裏一体に存在していた「自分たち(オタク)の理解者たる長老を失った(見捨てられた)」ことに対する嘆きでもあるのでは? 自分の認識としては、すでに2年前の「オタク イズ デッド」で現役オタク層は岡田斗司夫氏に見切り、今回の新書にしても「今頃焼き直しかよ」ぐらいのものだと思っていたので。

■そのオタク感やオタク史に対する異論・反論はあれど、岡田・唐沢の両氏が「オタク」を一般人にも分かりやすく(事象の客観視、エンターテイメント的話術)伝えることの出来る通訳=シャーマンとして希有な存在だったことは、間違いのないところだろう。第二~三世代にそんな人物が現れることがなかった(東浩紀氏や本田透氏のオタク論には、一般人に理解を求めようという姿勢(これでわからないやつにはわかってもらわなくてけっこう的な孤高さ)かなかったように思う)。→ブログや個人ニュースサイトが、マスコミのオタクの取り上げ方に対し「マスゴミのオタクに対する偏見」と糾弾するだけで終わってしまい、「なぜそう思われてしまうのか?」と考え、その解決へと向かおうとしないのも、そんな流れからか。

■bonoさんの「岡田氏がリアルタイムで接したはずの「過去」への言及までおかしくなってきた」という指摘だが、その手のいい加減さは岡田氏には割とよくあることなので、生暖かくスルーして突っ込むだけでいいと思うのは、業界の末席に身を置いているが故の見方の違いか。「宮崎努事件をきっかけに、自分はガイナックス=オタク作品作りから身を引いた。自分の作る作品が、ああいったモンスターを生み出すのではという恐怖を感じたから」という言説も、『絶望に効くクスリ』9巻での山田玲二氏との対談以降に突然出てきたものだったし(本当にそう考えていたけど、言う機会がなかっただけという可能性は考慮するにせよ)。

■ただDAICONⅢ~Ⅳがオタク史の起点となったというのは、間違いとは言い切れない。サブテキストとして島本和彦『アオイホノオ』を読むと解るが、現在も一線で活躍する様々なオタク系クリエイターが当時は大阪芸大周囲に多数存在していた。それがゼネラルプロダクツを触媒として集うようになり、DAICONⅢ~Ⅳで爆発したのは事実だから。無論、それを岡田氏一人の手柄のように語っている(ようにとれる)としたら、その点に関しては間違いと指摘するのは正しいが。

■bonoさんの言う加筆部分が気になって、一応現物を立ち読みしてきたのだけど、自分が「怒った部分」と思ったのが「今のオタクの萌えというのは、萌えてる自分が好きという自己愛」という風に分析している点。読んだ時は「違うだろ!」と思ったけど、最近問題になっている「歩行者天国での女装コスプレ」や、過熱気味の痛車ブームなどについては、この分析で合点がいった。「ダメな自分」を肯定するツールとしての「萌え」というものは、確かに存在していると思う(それがすべてではないが)。

■岡田氏は「萌え」を境にしてオタクの死が始まったと書いているが、問題なのは現役オタク層が「萌え」を誰にでも(旧世代のオタクにも一般人・世間にも)分かりやすく定義・言語化できなかったことではないか。それがとてつもなく難しいことは承知の上なのだけど(自分が某女性漫画誌のレポート漫画で説明を求められた時には、「架空の存在を愛でる気持ちや、その楽しみ方と思えばいい」と語り、女性がSMAPや韓流俳優に熱狂するのも実は同じ(実体のある俳優・タレントではあるが、その思い入れの対象となっているのはメディアで演じているキャラクターという架空存在であるという点から(ペ・ヨンジュンのパブリックイメージが、いまだに俳優自身ではなく『冬のソナタ』のカン・ジュンサン / イ・ミニョンであるし))。
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絶望に効くクスリ 9―ONE ON ONE (9) (ヤングサンデーコミックススペシャル)
岡田氏登場回の収録巻。他にも角川春樹、高木ブー、ノッポさんが登場しているので、読み甲斐のある内容かと。
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アオイホノオ 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

2008.05.08

『オタクは既に死んでいる』への周回遅れの反応こそが「オタクの死」の証明かも

■元オタキングこと岡田斗司夫氏が、先日新潮新書から出した新刊『オタクはすでに死んでいる』……内容はほとんど2年前にイベント&同人誌で語られた「オタク イズデッド」そのまんまだったので、両方体験&読了済みの自分としては「ああ、「いつデブ」が大ヒットしてるから、新潮社も岡田さんで新刊出したかったんだろうなあ。でも、岡田さんのことだから昨今の最新事情とかを織り込んだりはしていないっぽいなあ」と、書店で流し読みしてスルーしてたんですが。

■でも、オタク系ブログとか見てると「ライトオタクバッシングか?」「自称オタキングの逃亡だ!」と今になって騒いだり怒ったりしている人が多いのにビックリするやら「周回遅れすぎだろ!」とあきれるやら(逃亡ではなく、見限ったという方が正しいと思いますが。男性向けダイエットという金脈を掘り当て、『徹子の部屋』に呼ばれるまでになった氏にとっては、無理をしてまでオタクに軸足を置く必要はなくなったということなのだから)。
 目に触れる機会の多さで言ったら新書>>>>コミケ頒布の同人誌>>>>ロフトプラスワンのイベントだから仕方ないとは思うけど、それでも当時ネットじゃけっこう騒がれた(それがちゃんとイベントのメッセージを捉えていたかどうかはともかく)「オタク イズ デッド」が、たった2年ほどで風化しちゃってるって事自体が「オタクの死(オタクの定義の大きな変化)」の証明なのかもしれないなと。

■そして我が身を振り返ってみると、コミケで「オタク イズデッド」に対する反論アンサー本を出したときのように「オタクにだってまだ望みがある」的な反発心は、すでに薄れてしまっているかも。秋葉原を訪れるのも平日の買い物程度で、最近話題になっている歩行者天国の無法化を避けるために休日は近付かなくなってしまった自分にとって、ネットやオタク界隈での「アキバはオタクの聖地」という捉え方に、リアリティを持てなくなってしまっているし。
逆に言えば、アキバや日本橋といった土地が「自分の中のオタクにとって、どれだけ聖地たりえてるか」かが、自身のオタク度を測るリトマス試験紙となるかも。そういう意味では、自分も『オタクはすでに死んでいる』派の人間になっちゃったんだなと。
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オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)
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いつまでもデブと思うなよ (新潮新書 227)
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このメモ帳でやせる 「いつまでもデブと思うなよ」実践ガイド 2008年 04月号 [雑誌]

2008.05.06

スーパーアグリ消滅でホンダが失ったもの

 何年か前に原宿を歩いていて、あるプロモーションキャンペーンに出くわした。何かのブランドかと思って宣伝グッズをもらったら、そこには「鈴木亜久里による日本純正F1チームが誕生する」という旨のテキストが……そう、スーパーアグリF1のプロモーションだった。
 アイルトン・セナと中嶋悟に惹かれてF1を見ていたけど、一人は事故で天に召され、もう一人は現役を引退……F1を見るモチベーションを無くしていた自分にとって、久々にF1観戦に戻るきっかけをくれたのが、まさにスーパーアグリと佐藤琢磨だった。プライベーターゆえの苦戦にハラハラし、昨年のまさかの大躍進に喝采を上げたというのに、まさか今年になってチーム消滅の可能性が濃厚になるなんて……orz

スーパーアグリF1チーム、支援計画の不調で活動停止も?
(読売新聞より)

 ドイツ企業からの支援で、F1世界選手権への継続参戦を目指しているスーパーアグリF1チーム(鈴木亜久里代表)に活動停止の可能性が出てきた。同チームは6日に東京で記者会見し、状況を説明する。
 同チームは第5戦トルコGP(11日決勝)が行われるイスタンブール・サーキットでピット区域への入場が差し止められている。チーム側の説明では、F1興行面を統括するバーニー・エクレストン・F1マネジメント代表から「支援計画をホンダが承認したとの確認が取れるまでは、入場は出来ない」と通告されたという。
 同チームは3日にドイツの自動車関連企業、バイグル・グループが株式の相当部分を買収する契約がほぼ合意に達した、と発表した。契約調印にはエンジンなどを供給するホンダの合意が必要だが、ホンダF1チームのニック・フライ最高経営責任者は買収計画に明確に反対、また、ホンダ本社関係者も、「バイグルの提案内容ではチーム救済の抜本解決にはならないと思われる」と話している。
 このため、鈴木代表が出席する6日の記者会見ではトルコGP欠場か、活動停止が発表される可能性が高い。

 色々と内部の事情があるのかも知れないけど、日本の多くのF1ファンから見たら

「人気日の丸プライベーターを、日本のワークスが圧力かけて潰した」

としか見えないわけで(特に前年度からスーパーアグリに対して妙な動きを見せていたらしいニック・フライが派手に動いているせいで)。正直言って、これはホンダにとってもえらいイメージダウンじゃないんだろうか。

 財政状況が悪いことが解ってて、なおかつ支援企業との契約に口出しして潰したり、チーム代表をさしおいて勝手に出走取り消しを伝えるほど、ホンダスーパーアグリ運営に関する権限があるというのなら、何でいい成績を残せた前のシーズンでチーム終了への花道をつくってやらなかったのだろうか。スーパーアグリ設立の経緯が「国内のF1人気維持のため、佐藤琢磨の受け皿となるチームをつくる」というホンダの意志があったというのなら、ホンダには良い形で終わらせる義務があったはずだ。去年のハミルトンやスーパーアグリが人気だったのも、F1ファンはやはりレースにドラマやロマンを求めているものなのだから。
   それにも関わらず、ホンダがこういう形でスーパーアグリにとどめを刺すとしたら、後に残るのは国内F1人気の低迷とホンダのイメージダウンだけだろう。中嶋一貴はトヨタのドライバーだし、フジテレビがどれだけプッシュしても、現在の不安定さでは国内の人気を盛り上げるまでにはいたっていないし。

 今回の件が何とかいい方向に向かってくれればいいけど、このままスーパーアグリ消滅&琢磨シート喪失となったら、またしばらくはF1を見るモチベーションが失せることに……中嶋一貴はお父さんほどの味がないし、トヨタはよく走ってるけどドライバーに思い入れないし、ホンダは今回の件で完全に見限ったし、ハミルトンはすっかりDQN化しちゃったし。ああ、夜が明けてからのニュースが不安で仕方ないです。

※追記
ああ……決まっちゃったかorz
SUPER AGURI、F1撤退

http://jp.f1-live.com/f1/jp/headlines/news/detail/080506093347.shtml
HONDAの声明
http://jp.f1-live.com/f1/jp/headlines/news/detail/080506110200.shtml

2008.05.02

「今」という時代が生んだルパンの再生……『ルパン三世 GREEN VS RED』

■ここ最近はテレビスペシャルとして新作が放映されている『ルパン三世』だけど、クオリティ的に突き抜けてなかったり、なまじキャラが定着しているゆえに冒険ができないことの弊害か、アニメファンの話題に上ることがなくなってしまった気がする。

■そんな時に思い出すのが、押井守監督による劇場版『ルパン三世』のこと。かなり昔のアニメージュにコンセプトのみが発表されたのだけど、「ルパン三世は人々の共同幻想が産み出した幻」「ルパン三世という虚構を探してさまよう銭形警部」というプロットゆえに、企画が立ち消えになってしまったとか。まあ、けっこうな押井シンパだった自分でも「これは面白いかもしれないけど、オフィシャルでやるのは無理だろう」と思ったぐらいなので、企画がぽしゃったのも当然かと。
 でも、こういうプロットになった理由について、押井監督はこんなことを語っていたと記憶している……

「現代社会に怪盗(=ルパン三世)が存在する余地はない。それでも存在させるとしたら、こういうアプローチしかない」

 映画『立喰師列伝』も、立喰師という怪しい存在が社会の変化と共に消えていく課程を描いていたけど、社会が怪しげな存在を拒絶し排除していく現代日本では、『ルパン三世』という存在のリアリズムは無くなってしまっているのかも知れない。

■何で今になってこんなことを書いているのかというと、発売から一ヶ月遅れで見た『ルパン三世』40周年記念OVA『GREEN VS RED』に、幻の押井ルパンの残り香を感じて、ちょっとヒートアップしてしまったせいw。

 別に押井作品系統のスタッフがいるわけでも、所謂押井カラーっぽいものがでているわけでもない。でも、前述の「押井ルパン」が『ルパン三世』のフォーマットを崩さず、そのコンセプトを活かす形で歩み寄っていたら、ひょっとしてこんな作品になる可能性もあったんじゃなかったのかと。

■舞台はリアルタイムの現代日本。ルパン三世は表舞台から姿を消して世捨て人状態で、次元・五右衛門・不二子らファミリーもバラバラ。それゆえに銭形警部も精彩を欠いている様子……みんな「怪盗」の存在を許容しない現代からはじき出されているのだ。
 そんな世間を騒がせているのは、伝説のルパン三世に憧れスタイルのみを模倣し、様々な悪事を繰り広げる有象無象のニセルパンばかり。大きな盗みをやらかしているのもいるけど、本家に匹敵するようなスケールの大きさやロマンは皆無。いい女を抱き、享楽的な日々を過ごし、フィアットやベンツSSKを乗り回すというスタイルを真似ているだけのパチモンばかり。
 そんな中に現れた、緑のジャケットをまとったルパン三世……その正体は、中野のまずいラーメン屋のアルバイトと、スリで生計を立てているフリーター・ヤスオ(CVはラーメンズの片桐。そしてこの名前はルパンのオリジンCVである故・山田康夫氏からのもじりらしい)。店に忘れられていた緑のジャケットと、偶然スリ盗ったワルサーP38を手にした瞬間から、彼も「ルパン三世」としての生き方を手に入れる。
 ただ違っていたのは、彼が「本物の資質」を持っていたこと。次元も五右衛門も不二子も、「本物じゃない」と解っていても「本物のルパン」の魂を感じて行動を共にする。そして赤いジャケットをまとった本物さえもが「お前は本物になれるのか?」と勝負を挑むべく動き出す(本編を見ているとわかるのだけど、ヤスオが緑のジャケットとワルサーP38を手にするよう仕向けたのが当のルパンくさい)。

■ヤスオ以外にも、日常のしがらみや己の限界に苦悩しあがく二人のニセルパンのエピソードをクロスさせつつ描かれるのは、怪盗や悪漢なんていう存在が生きられない、息苦しい現代を生きる若き世代に、「お前はルパン三世のように生きられるか?」と挑発し、乗り越えるべき壁として立ちはだかるルパンという名の幻想……「今」だからこそ成立しうる『ルパン三世』の物語であると同時に、今の世代の青春譚でもある。『GREEN VS RED』は、それ自体が『ルパン三世』かくあるべしというしがらみを打ち破るべく生まれた、新生『ルパン三世』なのだ。

■ストーリー的なことはさておき、全編に盛り込まれた歴代『ルパン三世』へのオマージュも楽しい見所でした。警察のデータベースに存在するニセルパンたちが全シリーズそれぞれのデザインを踏襲したルパンだったり、主題歌が今井美樹カヴァーの「炎のたからもの」だったり(バックに流れるオープニング映像も、ある意味『カリオストロの城』的。さらに劇中のSEとしてオリジナルも少し流れます)。
 その反面、軽いショックだったのが銭形の声……納谷五郎氏の声が本当に老け込んでしまっていて、最初聞いた瞬間「いつの間にキャスト交代したの?」と思うぐらい、張りや力が無くて。クライマックスでは何とか調子を取り戻されていたけど、年齢的にも、そろそろやばいんだろうか……お体に気をつけてがんばってほしいです。

■色々とつらつら書いてきましたが、ひさびさにいいアニメを見たなという充実感が味わえた一編でした。内容的には突っ込みたいところもあるし、賛否両論もあるかとは思うけど、少しでも『ルパン三世』に思い入れのある人なら、絶対に見ておくべき一本だと思います。そして、自分の中の『ルパン三世』と向き合ってみるのも、面白いんじゃないだろうか。

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