ドタンバですが夏コミ新刊情報です

■ここ何週間かは出版界の風物詩・お盆進行に振り回されたり、例のワンフェスの事故を間近で目撃するハメになって、それに関する諸々の対応に振り回されたりで、完全にバテバテです。そして気がつけば、もう明日からは夏コミが……何も準備していないんですけど(仕事でそれどころじゃありませんし)。それでも、何とか新刊は用意できましたので、一応告知しておきます。

宵闇草紙 抜き読みの一席 参
A5版・28ページ 頒布価格・300円

 前回・前々回のコミケで出したものと同様、八房先生の「宵闇草紙 抜き読みの一席」の総集編本で、その第3弾となります。仕様も変わらず、表紙イラストと前書きエッセイは新作描きおろしです。少量ですが、バックナンバー2冊も用意してありますので、買い逃されたという方はどうぞです。こちらもA5版・28ページ 頒布価格・300円。
 
あと、とらのあなでの委託・通信販売も今回はコミケ3日目の8月17日より始めてもらう予定ですので、コミケに足を運べない方はそちらを利用していただければと思います。

歯車新書『オタク雑談』
A5版・28ページ 頒布価格・200円
 
今回も新書スタイルで、オタク界隈にまつわる事件や流行などに関して、文字通り雑談スタイルでまとめさせてもらいました。今回は時間がなかった為に練り込みが甘い部分もありますが、暇潰しにオタネタ文章がよみたいという方は、どうぞ手に取ってみて下さい。

それでは8月17日の西館な-07
私立歯車高校&眩燈館にてお待ちしております!

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かなり使えそうな東芝の「HD Rec」

■昨日のエントリーの続き的な内容ですが、東芝RDシリーズにおけるハイビジョン長時間録画規格「HD Rec」。自分も地デジ放送の録画がメインになって初めて気づいたのですが、こいつはけっこう使えますね。

■BD陣営のデッキに搭載されているAVC録画とHD Recの大きな違いが「HD RecはDVD-RにTS録画を非圧縮で保存できる」という点。もちろん録画データの容量に大きな違いがありますから、さして実用性はないかと思っていたんですが……BSデジタルよりもレートの低い地上波デジタルの録画に関してはそうでもない感じです。

■デジタル放送の普及にともない、最近メディア単価が下がってきているCPRM対応二層DVD-R(DVD-R DL)。HD Rec対応RDでは、DVD-RをHDVRフォーマットすることでTS録画&TSE録画(長時間ハイビジョン)データのムーブが可能となります。容量的なイメージから、DVDは長時間モードで録画したデータのムーブ専用という先入観を抱きがちですが、二層メディアならけっこうな分量の非圧縮TS録画データが記録できるのです。

■趣味と仕事柄アニメ番組の録画が多いので、以下の2番組を例とすると……
『RD 潜脳調査室』……二層DVD-RにTS録画3話分をダビング可能
『ソウルイーター』……二層DVD-RにTS録画4話分をダビング可能
※いずれもCMカット

 番組ごとに映像情報量が異なるハイビジョン放送だけに、一概に収録時間だけで計ることのできないのが難点ですが、少なくともテレビアニメ3話分は最低でも非圧縮で二層DVD-Rに保存できるとみていいかと。元々編集好きなアニオタ向けレコーダー的なカラーの強かったRDだけに、次世代メディアに対応していなくても、地デジアニメの録画マシンとしては十分に使える感じです。

■ただ注意点もいくつか。RD-A301のマニュアルによれば、DVD-RAM、RW、二層Rにレートの高いBSデジタルのTS録画を保存すると、再生できなくなる可能性もあるとのこと。あと、二層Rのメーカー別相性がA301ではきつかったので、買うメーカーにも気をつける必要が。自分の場合、太陽誘電は9割近い確率でフォーマットできない不具合が。逆に相性ばっちりなのがビクター製、あと何故かインドネシア産の三菱製もw

■「ハイビジョン録画を無圧縮で保存する手段がない」と批判されることが多かったHD Rec対応RDシリーズだけど、地デジ録画に関してはハンデはかなり低くなったと言ってもいいかと。ダビング10との相性の良さもあちこちで言われてますし、積極的にBDにしなくてもと思っている人は、購入検討リストに入れても良いかと思いますよ。BDソフトの再生が目当てなら、別口でPS3を導入してもいいわけですし。
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TOSHIBA VARDIA 地上・BS・110度CSデジタルチューナー搭載ハイビジョンレコーダー HDD1TB RD-X7

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TOSHIBA VARDIA 地上・BS・110度CSデジタルチューナー搭載ハイビジョンレコーダー HDD500GB RD-S502

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東芝がBDを出さない理由を考える

■仕事とコミケの準備とアスキー・メディアワークス引っ越しにともなう大量の私物の片付けでヒーヒー言ってるところに、尿路結石再発させて七転八倒な日々……何とか薬で押さえ込んでるうちに、また間の空いてしまった更新作業にかかりましょうか。

■地デジ普及促進のため、アナログ放送に強引に告知スーパーを入れるという情報を聞き、先月頭に我が家もデジタル放送への移行を強行。サンヨーの地デジ非対応プラズマから、パナソニックのフルHD液晶ビエラLZ-85の37インチを導入……ああ、これならコピーワンス&ダビング10の分をデメリットを差し引いても、十分満足できるわな。

■地デジ・AV関係絡みで最近気になったのが、この記事。
東芝のデジタルメディア戦略を語る
-東芝DM社・藤井美英社長インタビュー

【前編】【後編】
 HD DVD事業終息時に語られた「BD参入はない」という東芝の方針が未だ変わってないことが語られていたせいか、オタクやAVマニア系のブログなどでは東芝に対する落胆&ブーイングといった反応が多いのだけど(まあ未だに「土下座」「ワンダー」とか言ってる輩は、最初からバイアスかかったリアクション前提なんでしょうが)、会社経営という視点からの判断としては、これはこれで正しいんじゃないかと。確かにBD搭載のRDシリーズは出れば買いたい夢のレコーダーですが、先行メーカーと競り合いながらBDレコーダーを出すことで得る利益が、HD DVD事業で負ったダメージを回復させるに足るほど、現在のBD市場はまだうま味が少ないのではないかと。

 確かに次世代DVDはBDに一本化されたけど、店頭でのソフトの動きの鈍さなどを見ていると市場はまだ順調に動いているとは言い難い感じだし(良くも悪くも国内のBD市場はアニメ中心なので、新作テレビアニメのソフトとしては初めてDVDと同時リリースされる『マクロスF』『コードギアス R2』の売れ行きが、今後の動向を左右するかと)。あと地デジになって実感したのだけど、これだけキレイな画質であちこちの番組が見られるようになったら、わざわざソフトを買ってみなくてもいいんじゃないかって気分も生まれてきますし。
 ハイビジョン録画に関しても、何だかんだで録画&鑑賞はHDDがメインだし、メディアに保存してもあとで見返すことって滅多にない人の方が多いと思うし。特にヘビーに番組を録画している人ほど、HDDの録画分消化に忙しくて、HDDの容量がやばくなったら泣く泣く消すか「いつか見るときのために(そしてたいていは見ずに終わる)」未見の番組をメディアに待避させるなんてパターンも多いはず……自分もそうですしorz そうなると「わざわざ高いBDに保存しなくても、DVDに保存できるならそれでいいんじゃない?」となり、それに応えた結果が「HD Rec」「AVC録画」といった長時間録画規格の搭載なわけで。オタク&AVマニアと一般人では画質へのこだわりに大きな隔たりがあるし、なまじソースがキレイなのでAVCはもちろんVR録画でもそれなりにキレイに見られるし。

■そういった状況も、BDメディア価格のさらなる低下や使い勝手の簡素化(DVD/HDDレコーダーも、操作の難しさから実は思ったより売れていなかったという話もあるし)、先行メーカーのハイビジョン録画の魅力の啓蒙が実ればいずれ変わっていくはず。逆にBD以上に利便性の高い規格が生まれて、BDが一過性の規格として廃れる可能性だって無いとは言えない。そこらへんの動向がある程度固まるのは、地デジへの完全移行が終了する予定の3年後。東芝としてはそれまでは「見」に回って業績回復と開発に専念して、市場の動向が定まってから魅力的な製品を投入するという戦略を考えているのではなかろうか。BD搭載RDを望む声が大きいのは、それがBD市場の新たな起爆剤となる可能性を感じている人が多いからなのだろうけど、その実現にはBD市場自体がもっと大きくなることが必要条件……何というジレンマ。

■まあ、もうひとつの可能性として気になっているのは「BDA(Blu-ray Disc Association)に加入できないので、東芝はBD製品をだせない」のではないかということ。まあ、さすがにこれはないと思うんですけどね。

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Amazon限定リボルテック クラウザーさん予約開始

■ホビー関係の仕事も多い関係で、出るという話だけは聞いていたのですが、本日より予約がスタートしたので、やっと取り上げられます……自分も早速注文入れました。たぶん店頭で通常版とジャギ&カミュも買うかと。

■サタニックエンペラー版のメイクフェイスがウリなのだけど、やはり本命は同梱のニセクラウザーさんフェイスかと。額の文字もきっちり「投」になってますし。

■模型誌などですでにサンプルが公開されてますが、可動の仕込み具合がハンパじゃないので、他のフィギュア(やはりアイマスやよつばでしょうかね)や小物と組み合わせて色々と遊びまくれるリボルテック久々の大ヒット作になる予感が。ワンフェス限定&無可動とかでもいいから、同スケールの「資本主義の豚」も出してほしいっすわ。

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リボルテックヤマグチ No.55 ヨハネ・クラウザーII世 / サタニックエンペラーバージョン
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リボルテックヤマグチ No.55 ヨハネ・クラウザーII世
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リボルテックヤマグチ No.56 アレキサンダー・ジャギ
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リボルテックヤマグチ No.57 カミュ

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夏コミ参加決定しました

■秋葉原の事件から幾日か経ちましたけど、今までのように買い物を楽しめなくなっている自分に気づいて、いささか落ち込んだり。犯人の動機に迫ろうとするその後の報道も可能な限り追っているけど、「自分以外の人との関わり」が育むモラルや社会性の重要さについて考えさせられたり。

■犯人宅から同人誌などが出てきたり、卒業文集や職場での言動から「犯人がオタクだった」的な報道がされることに関して、安易なマスコミのオタクバッシングだという意見も多いけど、自分が思い至ったのは別の考え……「恋愛弱者」「格差社会」といった現実のプレッシャーに対する癒しや抑止力となりうると近年言われてきた「萌え(脳内恋愛)」や「オタク趣味」が、その力を失ってしまったのかなと。

■それはさておき本題。今年の8月15~17日に東京ビックサイトで開催される、コミックマーケット74へのサークル参加が無事決定しました。

8月17日(日曜日・3日目)
西地区なー07
私立歯車高校&眩燈館


今のところ、新刊の予定は『宵闇草紙 抜き読みの一席・参』を予定してます。自分の本の方はまだ未定ですが、上に書いたようなことを主題にしたオタク論的なもので一冊まとめるかもしれません。あまりに重いネタなので一冊丸々ではないかもしれませんが。
とりあえず、さらなる詳細が決まり次第告知いたします。ちなみに『宵闇草紙』既刊分は、もう委託でかなり行き渡ったと思うので、再版の可能性は低いかも。

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通り魔事件後の夜に感じた「趣都」の歪み

■土曜日に編集部での休日作業をした際、仕事用のモバイルノートを忘れてきてしまったことに気づいたのが日曜日になってから。特に仕事もないけど取りに行くべきか、今日は完全オフってことにして月曜日にすればいいかと悩んでいたところに飛び込んできた、秋葉原での通り魔による殺傷事件。
死傷者十数名、トラックで歩行者天国に突入した上にサバイバルナイフでの無差別殺傷、そして動機は「誰でもいいから殺したかった」という理不尽きわまりないもの……あきれと怒り、そして一歩間違えれば自分だったかも知れない被害者の方々への哀悼の意で、しばらく何もしたくなくなるほど落ち込むことに。でも、その一方で「そんな事件の起きたアキバはどうなっているんだろうか」と気になりもしていた。時間も夕刻だし不謹慎だとは思ったけど、時間は遅かったけど忘れ物のモバイルノートの回収ついでに、秋葉原へ立ち寄ることに。

■アキバに着いたのは午後7時半ぐらい。どんよりとした不安を抱えつつ降りた秋葉原駅前の風景は……あまりにもいつも通りだった。ビラ配りのメイドとコスプレ嬢が闊歩し、アキバ系男子のグループがひいきの路上アイドルを囲んだり、フィギュアや同人誌などの戦利品を見せ合いながらハイテンションに浮かれ、ゲーセン横の駐車スペースには、ズラリと並んだ痛車(ちなみに翠星石、シャナ、フェイト)たち。とても7人もの人が理不尽に命を奪われた事件が起こったエリアだとは思えないぐらいに、脳天気にオタクを満喫する人々が笑顔で闊歩する風景……。

■その時自分が感じた気持ちは、どう表現すればいいんだろうか? いいようのない寒気……「絶望した!」と笑い飛ばすことさえできない絶望感か。
目の前でアキバを満喫している人たちは、普段はさんざん「アキバは僕たちオタクの街」と口にして、アキバやオタクに関するネガティブな報道などがあれば「オタクは迫害されている」「マスゴミの偏見だ」とネットで吠えているんだろう。でも、そんな自分たちの街で通り魔事件が起こり、おそらくは自分たちと同じようにアキバを楽しんでいたオタクも被害者になっている可能性が高いのに、なんで事件自体がなかったかの様に盛り上がっていられるんだろうか? こんなに痛ましい事件が起きても、自分に降りかかったり、自分のアキバライフが邪魔されなければ「しょせんは他人事だから関係ないし興味無い」ってことなんだろうか。
ちょっと前までは「そこらのDQNと違ってモラルだけは持ち合わせている」というのがオタクの美点だったはずだけど、それすらも無くなってしまったんだろうか……あの『電車男』が完全な絵空事になってしまうぐらいに。

■森川嘉一郎氏は秋葉原を、そこに通う人の趣味が街そのものを変質させた「趣都」と語っていた。でも、ここ近年噴出している問題の数々と今回の事件に対する現地のリアクションを見てしまうと、「趣都」の負の側面が露わになってきたかの様に思えた。街自体も来訪者たちも、街を成り立たせるオタク趣味に関わることにしか関心を持たない、怪物的な存在にアキバはなってしまったのではないかと。
別に街をあげて喪に服せとはいわない。でも、つい何時間か前に十数人が死傷した同じ場所で、ここまで何事もなかったように笑っていられる空気が街を覆ってしまうというのは、何かしらが歪んでいる様に思える。

■首都圏でオタク関係の仕事をしていると、望むと望まざるとに関わらず「アキバ(系)」との関わりは避けて通れない。でも、今回の件で自分の中には「そろそろアキバと距離を置くべきじゃないのか?」という気持ちも芽生え始めている。確かにアニメやマンガやラノベなどのコンテンツビジネスで、手堅く利益を出そうと思ったらアキバ系にウケるようなものを作るのが鉄板だ。でも、何かしら不安を感じる歪みが見え始めたアキバに、過度に依存したり関わりすぎたら、いったいその果てに何が見えるのだろう?

■最後に、この度被害に遭われた方々のご冥福をお祈りいたします。月並みだけど、これぐらいしか言葉が出ません……。

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『オタクに未来はあるのか!?』を読む

 ネット界隈での『オタクはすでに死んでいる』論争も一段落ついたと思ったら、新たな論争の火種にしようとしてるかのような新刊が。
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オタクに未来はあるのか!?―「巨大循環経済」の住人たちへ
森永卓郎・岡田斗司夫
PHP研究所

 近年のオタク作品やオタク自体への言及には「違うだろ!」と色々突っ込みたい部分が多いオタキングだけど、オタクコミュニティから一歩引いて「社会の中においてオタクはどういう立ち位置にいるのか(世間にどう捉えられているのか)?」的な状況分析に関しては、面白いし納得させられる意見が多いんですよね。ここらへんはオタ系ニュースサイトやブログ、そして東浩紀系のオタク論者が「オタクに入れ込みすぎる(もしくは当事者である)がゆえに」見落としがちな部分でもあるわけで。そこらへんの人の中には「岡田や唐沢の言うことなんて、第一世代が自分たちをあがめてほしくて言ってるだけの妄言だ」と切り捨てる人もいるけど、オタクについて何か考えるのであれば、見落とすことのできない思考材料のひとつだと思うのですよ。だからこそ、何だかんだ言っても興味深い題材の時には本を買っているわけで。

 今回の本は、そのタイトルや森永卓郎との共著(対談本)であることから察しがつくように、「オタク市場・経済」に的を絞って、その市場の仕組みと抱える問題点に迫るというなかなか面白い内容。

・『電波男』の中で「ほんだシステム」として語られた、オタクな作り手とオタクな消費者の間で金が循環していく「閉鎖的循環型市場」の弱点。
・「萌え」とは恋愛の精進料理である。
・これからの萌えビジネスの勝利の鍵は「恋人」ではなく「妻」を与えること。
・オタクは急速に「下流の趣味」になりつつあることを認識すべし。


 読んでて気になったキーワードをいくつか抜き出してみたけど、過去から現在へのオタクビジネスの変化や、これから成功するためのキーポイントなどがあちこちにちりばめられていて、編集という仕事柄「なるほどなー」と思わされる部分も多かったです。
 経済ネタとは言っても、小難しい専門用語はあまりないですし、語りの上手い二人による対談なので文章も読みやすいので、オタクビジネスに興味のある人は読んで損のない一冊かと。

 まあ、ひとつ気になったのは、この手の話題で必ず出てくる村上隆に対する評価ですか。この本では「オタク市場に新たな人と資金を呼び込む貴重な人材」と高く評価してるのだけど、あまりフィードバックされてない気がするんですが(^_^;)。あと、オタクが村上隆を嫌うのは「オタクは金に関して潔癖なので、村上隆はオタクを金儲けに利用しているように見えるのだろう」とも書いているのだけど、それ以上に「巨乳や射精など恥ずかしい題材を「これがオタクのアートだ!」としてアピールされることの痛さ(ワイドショーで奇矯な振る舞いのオタクが「これがオタクだ」と広められる感覚に近いかも)」「オタクが作品の重要な評価要素としている「熱気」「情熱」が村上のオタクネタ作品からは感じられない(同人誌に例えるなら「今回はこれが売れ線だから」という意図が見え見えなエロ同人誌みたいなものか)」という部分も大きいと思うんだけど。

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『オタクは既に死んでいる』論争(?)に関する覚え書き

『オタクは既に死んでいる』に関して、前回のエントリーに対するコメントや各所の反応を見て、色々と思いついたこととかがあったので、覚え書きとしてつらつらと。ちゃんとまとめるかどうかは、仕事や気持ちの余裕次第ですが、何かの思考材料になればということで、ひとつ。

■『オタクは既に死んでいる』に対する現役オタク層の反発は、「岡田や唐沢はすでに時代遅れの存在」という思いと表裏一体に存在していた「自分たち(オタク)の理解者たる長老を失った(見捨てられた)」ことに対する嘆きでもあるのでは? 自分の認識としては、すでに2年前の「オタク イズ デッド」で現役オタク層は岡田斗司夫氏に見切り、今回の新書にしても「今頃焼き直しかよ」ぐらいのものだと思っていたので。

■そのオタク感やオタク史に対する異論・反論はあれど、岡田・唐沢の両氏が「オタク」を一般人にも分かりやすく(事象の客観視、エンターテイメント的話術)伝えることの出来る通訳=シャーマンとして希有な存在だったことは、間違いのないところだろう。第二~三世代にそんな人物が現れることがなかった(東浩紀氏や本田透氏のオタク論には、一般人に理解を求めようという姿勢(これでわからないやつにはわかってもらわなくてけっこう的な孤高さ)かなかったように思う)。→ブログや個人ニュースサイトが、マスコミのオタクの取り上げ方に対し「マスゴミのオタクに対する偏見」と糾弾するだけで終わってしまい、「なぜそう思われてしまうのか?」と考え、その解決へと向かおうとしないのも、そんな流れからか。

■bonoさんの「岡田氏がリアルタイムで接したはずの「過去」への言及までおかしくなってきた」という指摘だが、その手のいい加減さは岡田氏には割とよくあることなので、生暖かくスルーして突っ込むだけでいいと思うのは、業界の末席に身を置いているが故の見方の違いか。「宮崎努事件をきっかけに、自分はガイナックス=オタク作品作りから身を引いた。自分の作る作品が、ああいったモンスターを生み出すのではという恐怖を感じたから」という言説も、『絶望に効くクスリ』9巻での山田玲二氏との対談以降に突然出てきたものだったし(本当にそう考えていたけど、言う機会がなかっただけという可能性は考慮するにせよ)。

■ただDAICONⅢ~Ⅳがオタク史の起点となったというのは、間違いとは言い切れない。サブテキストとして島本和彦『アオイホノオ』を読むと解るが、現在も一線で活躍する様々なオタク系クリエイターが当時は大阪芸大周囲に多数存在していた。それがゼネラルプロダクツを触媒として集うようになり、DAICONⅢ~Ⅳで爆発したのは事実だから。無論、それを岡田氏一人の手柄のように語っている(ようにとれる)としたら、その点に関しては間違いと指摘するのは正しいが。

■bonoさんの言う加筆部分が気になって、一応現物を立ち読みしてきたのだけど、自分が「怒った部分」と思ったのが「今のオタクの萌えというのは、萌えてる自分が好きという自己愛」という風に分析している点。読んだ時は「違うだろ!」と思ったけど、最近問題になっている「歩行者天国での女装コスプレ」や、過熱気味の痛車ブームなどについては、この分析で合点がいった。「ダメな自分」を肯定するツールとしての「萌え」というものは、確かに存在していると思う(それがすべてではないが)。

■岡田氏は「萌え」を境にしてオタクの死が始まったと書いているが、問題なのは現役オタク層が「萌え」を誰にでも(旧世代のオタクにも一般人・世間にも)分かりやすく定義・言語化できなかったことではないか。それがとてつもなく難しいことは承知の上なのだけど(自分が某女性漫画誌のレポート漫画で説明を求められた時には、「架空の存在を愛でる気持ちや、その楽しみ方と思えばいい」と語り、女性がSMAPや韓流俳優に熱狂するのも実は同じ(実体のある俳優・タレントではあるが、その思い入れの対象となっているのはメディアで演じているキャラクターという架空存在であるという点から(ペ・ヨンジュンのパブリックイメージが、いまだに俳優自身ではなく『冬のソナタ』のカン・ジュンサン / イ・ミニョンであるし))。
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絶望に効くクスリ 9―ONE ON ONE (9) (ヤングサンデーコミックススペシャル)
岡田氏登場回の収録巻。他にも角川春樹、高木ブー、ノッポさんが登場しているので、読み甲斐のある内容かと。
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アオイホノオ 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

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『オタクは既に死んでいる』への周回遅れの反応こそが「オタクの死」の証明かも

■元オタキングこと岡田斗司夫氏が、先日新潮新書から出した新刊『オタクはすでに死んでいる』……内容はほとんど2年前にイベント&同人誌で語られた「オタク イズデッド」そのまんまだったので、両方体験&読了済みの自分としては「ああ、「いつデブ」が大ヒットしてるから、新潮社も岡田さんで新刊出したかったんだろうなあ。でも、岡田さんのことだから昨今の最新事情とかを織り込んだりはしていないっぽいなあ」と、書店で流し読みしてスルーしてたんですが。

■でも、オタク系ブログとか見てると「ライトオタクバッシングか?」「自称オタキングの逃亡だ!」と今になって騒いだり怒ったりしている人が多いのにビックリするやら「周回遅れすぎだろ!」とあきれるやら(逃亡ではなく、見限ったという方が正しいと思いますが。男性向けダイエットという金脈を掘り当て、『徹子の部屋』に呼ばれるまでになった氏にとっては、無理をしてまでオタクに軸足を置く必要はなくなったということなのだから)。
 目に触れる機会の多さで言ったら新書>>>>コミケ頒布の同人誌>>>>ロフトプラスワンのイベントだから仕方ないとは思うけど、それでも当時ネットじゃけっこう騒がれた(それがちゃんとイベントのメッセージを捉えていたかどうかはともかく)「オタク イズ デッド」が、たった2年ほどで風化しちゃってるって事自体が「オタクの死(オタクの定義の大きな変化)」の証明なのかもしれないなと。

■そして我が身を振り返ってみると、コミケで「オタク イズデッド」に対する反論アンサー本を出したときのように「オタクにだってまだ望みがある」的な反発心は、すでに薄れてしまっているかも。秋葉原を訪れるのも平日の買い物程度で、最近話題になっている歩行者天国の無法化を避けるために休日は近付かなくなってしまった自分にとって、ネットやオタク界隈での「アキバはオタクの聖地」という捉え方に、リアリティを持てなくなってしまっているし。
逆に言えば、アキバや日本橋といった土地が「自分の中のオタクにとって、どれだけ聖地たりえてるか」かが、自身のオタク度を測るリトマス試験紙となるかも。そういう意味では、自分も『オタクはすでに死んでいる』派の人間になっちゃったんだなと。
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オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)
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いつまでもデブと思うなよ (新潮新書 227)
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このメモ帳でやせる 「いつまでもデブと思うなよ」実践ガイド 2008年 04月号 [雑誌]

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スーパーアグリ消滅でホンダが失ったもの

 何年か前に原宿を歩いていて、あるプロモーションキャンペーンに出くわした。何かのブランドかと思って宣伝グッズをもらったら、そこには「鈴木亜久里による日本純正F1チームが誕生する」という旨のテキストが……そう、スーパーアグリF1のプロモーションだった。
 アイルトン・セナと中嶋悟に惹かれてF1を見ていたけど、一人は事故で天に召され、もう一人は現役を引退……F1を見るモチベーションを無くしていた自分にとって、久々にF1観戦に戻るきっかけをくれたのが、まさにスーパーアグリと佐藤琢磨だった。プライベーターゆえの苦戦にハラハラし、昨年のまさかの大躍進に喝采を上げたというのに、まさか今年になってチーム消滅の可能性が濃厚になるなんて……orz

スーパーアグリF1チーム、支援計画の不調で活動停止も?
(読売新聞より)

 ドイツ企業からの支援で、F1世界選手権への継続参戦を目指しているスーパーアグリF1チーム(鈴木亜久里代表)に活動停止の可能性が出てきた。同チームは6日に東京で記者会見し、状況を説明する。
 同チームは第5戦トルコGP(11日決勝)が行われるイスタンブール・サーキットでピット区域への入場が差し止められている。チーム側の説明では、F1興行面を統括するバーニー・エクレストン・F1マネジメント代表から「支援計画をホンダが承認したとの確認が取れるまでは、入場は出来ない」と通告されたという。
 同チームは3日にドイツの自動車関連企業、バイグル・グループが株式の相当部分を買収する契約がほぼ合意に達した、と発表した。契約調印にはエンジンなどを供給するホンダの合意が必要だが、ホンダF1チームのニック・フライ最高経営責任者は買収計画に明確に反対、また、ホンダ本社関係者も、「バイグルの提案内容ではチーム救済の抜本解決にはならないと思われる」と話している。
 このため、鈴木代表が出席する6日の記者会見ではトルコGP欠場か、活動停止が発表される可能性が高い。

 色々と内部の事情があるのかも知れないけど、日本の多くのF1ファンから見たら

「人気日の丸プライベーターを、日本のワークスが圧力かけて潰した」

としか見えないわけで(特に前年度からスーパーアグリに対して妙な動きを見せていたらしいニック・フライが派手に動いているせいで)。正直言って、これはホンダにとってもえらいイメージダウンじゃないんだろうか。

 財政状況が悪いことが解ってて、なおかつ支援企業との契約に口出しして潰したり、チーム代表をさしおいて勝手に出走取り消しを伝えるほど、ホンダスーパーアグリ運営に関する権限があるというのなら、何でいい成績を残せた前のシーズンでチーム終了への花道をつくってやらなかったのだろうか。スーパーアグリ設立の経緯が「国内のF1人気維持のため、佐藤琢磨の受け皿となるチームをつくる」というホンダの意志があったというのなら、ホンダには良い形で終わらせる義務があったはずだ。去年のハミルトンやスーパーアグリが人気だったのも、F1ファンはやはりレースにドラマやロマンを求めているものなのだから。
   それにも関わらず、ホンダがこういう形でスーパーアグリにとどめを刺すとしたら、後に残るのは国内F1人気の低迷とホンダのイメージダウンだけだろう。中嶋一貴はトヨタのドライバーだし、フジテレビがどれだけプッシュしても、現在の不安定さでは国内の人気を盛り上げるまでにはいたっていないし。

 今回の件が何とかいい方向に向かってくれればいいけど、このままスーパーアグリ消滅&琢磨シート喪失となったら、またしばらくはF1を見るモチベーションが失せることに……中嶋一貴はお父さんほどの味がないし、トヨタはよく走ってるけどドライバーに思い入れないし、ホンダは今回の件で完全に見限ったし、ハミルトンはすっかりDQN化しちゃったし。ああ、夜が明けてからのニュースが不安で仕方ないです。

※追記
ああ……決まっちゃったかorz
SUPER AGURI、F1撤退

http://jp.f1-live.com/f1/jp/headlines/news/detail/080506093347.shtml
HONDAの声明
http://jp.f1-live.com/f1/jp/headlines/news/detail/080506110200.shtml

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«「今」という時代が生んだルパンの再生……『ルパン三世 GREEN VS RED』